多香子

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 僕は平ぺったい石の上に腰を下ろした。リュックから弁当袋を取り出す。巾着袋を開けるとご丁寧にも空色と白色のギンガムチェック柄のハンカチに包まれていた。ただ包むだけでなく、固結びされていて、結び目がきつく小さいため、ほどけない。    昼御飯を目の前にお預けをさせるとはさすが多香子だ。五分ほど格闘して、ようやく結びを外すことができた。やれやれ。    弁当箱は二段式になっていて、まず上の段を開けるとおかずが詰まっていた。
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