6話 部屋の使用者3

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6話 部屋の使用者3

「高千穂中央司令いらっしゃいますか。」 「《久遠》か何かあの部屋に不備でもあったか。あの部屋は少し前まで新人の顔合わせに使っていたんだ。何かあればこちらで言っておくが、直接言いにいくなら彼女達の経歴と成績を渡すがどうする。」 「ありがとうございます。我々の問題なので高千穂中央司令部に迷惑をかけるわけにはいけないので、成績と経歴をお願いします。それと彼女達の寮での部屋番号とサードジャッジメントの服貸してもらえますか。セカンドじゃなくてサードの服で良いのか。」 「はい。サードの服でお願いします。」 「そうか。分かったサードの服を用意するからその間は付き合ってもらえないか。」 「そうですね。私の為に淹れて下さったコーヒー1杯分は付き合いますよ。」 「私のコーヒーは、高いぞ。」 「私の時間もすごく高いですよ。」 「そんなに、あいつのお目に叶ったのか。もしかしたらと思って君達の部屋でやらせたが。」 「そうですね。一目で気に入ったようでしたよ。私も結構気に入ったので高千穂中央司令には感謝しかないですよ。」 「感謝は、次の機会でしてくれ。それまでになんの事か考えておくから。」 「そうですね。私も何に感謝してるのか分からなくなりました。」 「《閃光》じゃなくて、上田はどうだ。あの頃と違い人として過ごせているか。」 「そうですね。未だ人として過ごせていない時もありますけど、殆ど昔と変わらない様になりました。」 「隠し事も沢山あるから大変だろ」 「そうですね。今月だけでも15回ありました。因みに高千穂中央司令は、新人の顔合わせの時にしか桜の皿を使わないことを知っていましたか。」 「桜の皿って君達の部屋に置きっぱにしてあるあの桜の皿の事だよね。」 「はい。その桜の皿です。」 「初めて知ったしあいつ西日本に一度も配置されたこと無いのにいつ変えたんだろう。」 「「はぁ」」 「お互い不思議な上司と同僚を持つと大変だな。」 「そうですね。不思議な上司を持つと大変ですが、大変になるほど昔のように人間らしく戻ったと考えれば嬉しくもなるんですよ。」 「樹ありがとう。部隊では2年ほどしか一緒でなかったのに、上田の世話を全て任せてしまって。」 「こちらこそ、新人で右も左も分からない私に全てを教えてくれたのは他でもないあなたですから。」 「さぁ。もうコーヒー1杯分は付き合ってもらったのだから行きな。」 「それでは失礼しました。」 「遂に31・32人目を取るつもりになったのか。でも、その31・32人目は何の因果なのか彼女たちと同じなんだよな。」  と、小さくつぶやいた。 ~帰りの新幹線にて~ 「上田指令ちょっとお話があるのですが、良いですか」 「例の件か」 「そうですね。でも、その前にこれを見てほしいのですが。」 「履歴書だねなんでこんなものを。」 「私も高千穂中央指令から強制的に渡されたのですが、星奈の方の履歴書を見てください。」 「別に何も問題はなさそうに見えるが...強いて言うなら母親は、出雲司令部の指令だったが12年ほど前に2年ほど星奈を出産した育休で休んでいるぐらいで何にも問題が良ないように見えるが。」 「確かに1枚目には何にも問題はありませんし、ここまで完璧な履歴書はなかなかいないですよ。ですが問題は、2枚目の方です。」 「12年前の星奈を産む直前に、出雲市銀行強盗事件に遭遇し左足を怪我しています。」 「出雲市銀行強盗事件の被害者の娘か。何の因果なのだろうか。」 「しかも、彼女はあの子と同じ戦略戦術所出身者なんですよ。」 「世の中は狭いな。しかし樹本当にいいのか。」 「上田中央司令こそ大丈夫ですか。」 「あぁ。大丈夫だ。むしろ今大丈夫にしなければ今後一生無理だろうな。」 「そうですね。それでは、手続きはお願いできますか。」 「わかった。配属先の学校も私が手配するがそれでよな。」 「はい。お願いします。」
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