ツイ主とやり取りが止まらない

4/13
前へ
/370ページ
次へ
先に入店していた先輩たちは座敷のある小上がりすささにいた。 仕事帰りに寄ったサラリーマンたちの座るテーブル席を抜けて、早乙女先輩と共に向かう。 新城先輩は角の通路側に座っていて、その隣に国司部長が陣取っていた。 しまった。 先輩の隣は当然、僕が座れると思っていて油断した。 てか、普通上座に座るんじゃないの? 企画部の方が年齢上だし、役職もあっちが上なのに、なんで通路側? 「遅くなりました。 国司部長、1番奥の席にどうぞ。僕が通路側座るので」 新城先輩の隣に座っていた彼に奥へ勧めたが、国司部長は爽やかな笑みを浮かべて手をヒラヒラ振る。 「いやいや、今コンプラ的にそういうの無くそうって企画部ではなってるんだ。 それに俺は気を遣われるより気を遣いたいタイプだから、君は大人しく先輩たちの世話をされてるといいよ。 あ、あくまでも俺たちの間ではだから、他所では今まで通りでね」 とりあえず先に酒頼むから、好きな酒選びなとメニュー表を手渡された。 1番最初は「生ビール」じゃないということか。 僕は1番年下なのに上座に座れと? 新城先輩の対面席である上座。 対面できるけれど、真隣に座っている国司部長が隣ってことがモヤモヤした。 隣が良かった。 「あら、残念だったね、五木クン」 早乙女先輩がニッタリと白い歯を見せて何故かニヤついている。 この相関図を見て楽しんでいるだろう先輩は、僕の両肩を押して上座へと押してくる。 先程決めたばかりの決意が緩みそうだ。 先輩には変に近寄らない。 噂が立たぬよう、しっかりしようと思うが、周囲にいるサラリーマンたちの笑い声で2人の距離が更に縮まって見えてしまう。 「生ビール頼みますが、他に生欲しい人いませんか?」 上着を脱ぎ、壁にかけられた木製ハンガーにスーツを掛けた。 国司部長と蝶野先輩たちの上着はすでにハンガーにかかっている。 スーツも良いとこのやつなのが見てすぐに分かった。 僕の安物のスーツとは違う。 これが新人と先輩との差ってやつか。 「蝶野は何飲む?」 「生ッス。出来るなら夜の方も生が良いっス」 「はいそこ、セクハラ発言しなーい。クソ発言しなーい。まだお酒も入ってないのに」 りりこ先輩と蝶野先輩が仲良さげにしているのを見て、ちょっと羨ましいと思ってしまう。
/370ページ

最初のコメントを投稿しよう!

542人が本棚に入れています
本棚に追加