ツイ主とやり取りが止まらない

5/13
前へ
/370ページ
次へ
「蝶野、お前は本当そういうところだぞ」 国司部長が呆れたようにため息を溢すと、蝶野先輩は笑う。 「りりことは高校生からの仲っスから」 「うぜー。あたしをなんだと思ってるわけ?」 「下ネタ好きのオッサン」 「まじで、コロス。お兄さーん!生、特大ジョッキで!!!コイツ潰す!!!」 「今日も負けませーん。やれるもんならやってみろー」 国司部長が2人を止めるのも聞かずに、2人して特大ジョッキを注文していた。 このノリ、大学生みたいだな。 仲が良すぎて会話に入りづら。 苦笑する顔を見て、目の前にいた新城先輩と目が合った。 小汚い居酒屋とミスマッチな美人。 先輩が何か口を開いて話していたけど、周りが煩くて何を言ってるのか聞き取れない。 首を傾げると、先輩は前のめりに上半身を起こして僕の耳元へ唇を寄せた。 「騒がしくなってしまったけど、大丈夫?」 耳朶に響いてくる生温い吐息にドキッとする。 これは、耳が幸せすぎるだろ。 「は、はい。賑やかな方がきっと楽しく飲めますから」 あははと心にもないことを言う。 本当は先輩と2人きりが良かったけど、それは他の社員に見られるのはまずいから。 仕方ない、、、けど。 あぁ、先輩、可愛いなぁ。 2人きりでもっと先輩のこと知っていきたかった。 「お待たせしましたー!特大ジョッキ2つ、生中2つ、ウーロンハイ1つー!」 国司部長の背後に店員がお盆とジョッキを抱えて来た。 「生中2つは憂里と五木さんだよね」 国司部長から手渡され、恐縮しながら受け取る。 揃ったグラスを確認して、皆はまだかまだかと喉を鳴らす。 「じゃ、初めての集いだけど、先輩後輩関係なく楽しく飲みましょー!カンパーイ!」 「お疲れ様でーす」 ウーロンハイを持ち上げた部長にみんなゆっくりグラスを近づけて、僕はみんなより下を当てるように近づける。 こういうのって回数重ねないと慣れないもんだよな。大学とは違うノリだし。 他の部署の誘いや、先輩たちが優しいおかげで恥を欠かずに済んでるけど、僕と同期で入った子のほとんどが社会の常識に驚き、知識を身につけようと必死になっていた。 ハンコの押し方一つですら縦社会って凄い文化だよな。 キンキンに冷えたグラスから伝わる喉越し。 食道へと流れていくビールの美味しさはやっぱり格別だ。
/370ページ

最初のコメントを投稿しよう!

542人が本棚に入れています
本棚に追加