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第2話 世界大戦
センリュウが消息を絶った後も戦争は続く。同盟国のジャポルを救う為、アルメリカ共和国と、軍事帝国ベルゴルドの戦争が始まる。
戦争が始まる前から。ベルゴルドとアルメリカは、互いに異なる思想を持っており、長年睨み合いが続いていた。
ベルゴルドの思想は
「頭の悪い人間、醜い人間、力のない人間、毎日何もせず、ただ生きているだけの人間は価値が無いっ!そんな人間に生きる権利等ない」
「優秀な人間だけを残し、その他の愚かな人間は滅ぶべきだっ!!!!」
アルメリカの思想は
「愚かな人間がいる事は事実だが、力なくとも懸命に生きている者がいる。人間は他人を思いやり、愛する事が出来る、かけがえのない存在!滅ぼす等とんでもない」というもの。
いざ、戦争を始めるにあたり、ベルゴルドの皇帝は、自分達の思想に反対する、ジャポルを真っ先にに盗り、拠点とする事で、他の敵対する国を攻めやすくなると考え先制攻撃を開始したのだ。
ジャポルはベルゴルドに完全に、制圧されてしまい支配下に置かれた。ジャポルが世界の中心に位置する事が、不幸を呼んだ。
そしてこの戦争は、ベルゴルドの同盟国とアルメリカの同盟国をも巻き込み、ついに世界大戦にまで発展する。
戦争は世界各地で起こり毎日、数万人が命を落とす
地獄絵図その物だった。
ベルゴルドとアルメリカは、互角の戦いを繰り広げていたが、運悪くアルメリカにも怨魔が現れる。
怨魔はジャポル同様、アルメリカでも破壊と殺戮の限りを尽くした。
ベルゴルドのミサイル攻撃と怨魔の破壊攻撃に合い、アルメリカも壊滅状態となる。
遂にアルメリカもベルゴルドに降伏し、支配下になってしまう。しかし、残されたアルメリカの同盟国は、ベルゴルドの考え方を許さず、協力してベルゴルドと戦い続けた。
しばらくして、怨魔は世界各地に現れ、遂にベルゴルドにも現れる。
一部では、ベルゴルドが怨魔を、産み出したのではないかとの噂があったが、そうではなかったようだ。
「人間同士で戦争をしている場合ではない」
ベルゴルドの同盟国と、その他の国は一端、停戦協定を結び、四年間続いた世界大戦は終焉を迎える。
この世界大戦により、世界の人類は半分にまで減少した。
それから二年の月日が流れる。
四年間続いた世界大戦で、ジャポルは戦争終焉から
二年たった今も荒れ果てていた。
大戦で使用された兵器の影響で、空は常に灰色の雲で覆われており、太陽の光はほとんど射さない。
大地には人間の血が染み込み、草木も咲かず、海は油と血で赤黒く汚れている。破壊された建物の瓦礫が、山の様に積まれ、辺りには、焼け焦げた死体が、無造作に転がっている。
弔う事もされずに。
あれほど美しかったジャポルは、自然はもちろん、法も秩序も失った国となる。
生き残ったジャポルの人達は、自分の土地を取り戻す為、ベルゴルド軍と戦う解放軍、ベルゴルド軍の犬に成り下がり、暴力を生業とする野盗、その野盗達の暴力と、怨魔の恐怖に怯えながらも、懸命に生きる者達がひしめき合って暮らしていた。
ベルゴルド軍は歯向かってくる、ジャポルの解放軍を殺害しジャポル各地を襲う。野盗達は、弱い人から略奪と殺戮を繰り返す。同じジャポル人から。
また怨魔も人を殺して喰らおうと、そこら中を徘徊している。依然、どうやって怨魔が産まれたのかは不明のまま。
ジャポルは弱い者が虐げられ、ベルゴルド兵に金を渡している、一部の権力者、凶器を持ち、人を傷つける事を、何とも思わない者しか自由に外を歩く事すら出来ない、そんな国になってしまった。
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