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そんな話をしているうちに、次の卵が届いた。
私はまたそれを割る。
次の記憶では、11歳の私はもう病院のベッドから起き上がれなくなっていた。
「本当に……帰れるのよね? 天国じゃなく、お家に」
また不安になって訊ねると、彼は私の手に小さくてふわふわな手を重ねて頷いた。
「嘘はつけません。私達はそう出来ているんです」
真っ黒なガラス玉みたいなつやつやの目が綺麗だ。
きっとそこに嘘はないのだろう。
私はぎゅっとそのもふもふとした温かい小さな体を抱き締めて、次の卵を待つ。
イースターは少し居心地が悪そうだったが、私の不安を和らげるためか大人しくしていてくれた。
そしてとうとう最後の卵が届く。
「これが……最後だよね」
「はい。これが最後、12歳の記憶です」
恐る恐るそれを手に取るけれど、割る勇気がなかなか出ない。
それを抱えたままで止まっていると、イースターが私の肩に触れた。
「大丈夫、私達はアリスが家に帰れるようにサポートしますから」
私は頷いて、最後の卵をカシャンと地面に落とす。
すると、記憶の再生が始まった。
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