Executions

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けれどなかなか思うように早くは進まない。 探す意図を持ってやっているのに、探すつもりではなかった時と効率が変わらないのだ。 範囲が広すぎるためかとも思ったが、そうではないような気がしている。 「イースター、あなた時計ばかり気にしてるわよね」 「時計ウサギですから」 ふすんと鼻を鳴らして胸を張る彼に、続けて訊ねてみた。 「前の卵が見付かったのは何分前だったかしら」 「5分前です」 「じゃあその前は何分前?」 「45分前です」 私は更に訊ねる。 なんとなく彼の声が小さくなった気がした。 「その前は今から何分前?」 「……85分前です」 「その前は?」 真っ黒なガラス玉みたいな瞳が困ったように逸らされる。 「私は時間について聞いているだけよ。答えて」 「…………125分前です」 やはりそうだ。 卵が見付かるのは丁度40分ごと。 このペースは最初からずっと変わっていない。 きっとイースターは見付かる時間はわかっても、場所は知らない。 多分これがこの場所での法則なんだ。
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