Alert

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どうせ歩き回らなくても勝手に出てくるならもう卵を探す必要はない。 私がそのまま草原に座ってただ時の過ぎるのを待っていると、突然けたたましい音が鳴り響いた。 「何これ……なんの音!?」 ジリジリと鳴るベルの音に驚いたのは私だけではなかったようで、イースターもぴょんと飛び起きて辺りを短い足で駆け回った。 慌てすぎて跳ねることすら忘れているようだ。 「大変だ、大変だ!!」 「イースター! あなたから音がするんだけど!」 その轟音に耳をふさぎながら私が叫ぶと、慌て者のうさぎはきょとんとこちらを見てポケットの中の懐中時計の蓋を開ける。 何かちょいちょいといじると、ようやく耳が痛くなるような音が止まった。 「一体何なの……」 「……アリス、アラームが鳴ったので特別に少しだけここのことをお話出来ます」 まだ鼓膜がぼわぼわする中で、イースターは私に話しかける。 何故あれが鳴ったのかはさっぱりわからないが、どうやら何か教えてもらえるらしい。 私はぴんと背中を伸ばして待ち構えた。 「ここはアリスの夢の中ですが、正確には夢ではありません」 「眠ってるわけじゃないってこと?」 「眠っているわけではなく、まだ目覚めていないんです」 なんだか煙に巻かれたような話だが、からかわれているわけでもないらしい。 「君が全部の記憶を取り戻した時、初めて目覚めるんです」 「じゃあ、本当に家に帰れるの? お父さんやお母さん、ルイスに会える?」 一番の心配事はそこだ。 目覚めたとしてもそこが天国でないとは言い切れないのだから。
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