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あれから七年。私はそれまで思いも寄らなかった生活を送ることになった。
ショーガッコーという殺風景な建物に通い、クラスメートと呼ばれる同じ年の大勢の子どもたちと一つの部屋の中で一人の先生に教わって勉強した。昼には、キューショクというあまり美味しくない食事を摂り、ソージトウバンに当たれば下女のようにキョーシツを掃除して帰るのだった。
タイイクという変な勉強もあった。唯ひたすら走ったり、鉄の棒を握ってその周りをぐるりと回転する技術を習ったり、腕に抱えるくらいのボールをほかの子に当てるゲームをしたり‥一体何の役に立つのかさっぱりわからなかった。
身体を動かす運動なら、故国の宮中で習っていたのは剣術や馬術で、これらは将来必要になる実際的な勉強であり、私は剣術は苦手だったけれど馬術は得意で好きだった。ムジカと名づけた私専用の馬も持っていた。けれどこちらの世界では、馬は途轍もなく高価なものらしく、おいそれと一般国民の手に入るものではないそうだった。八歳の誕生日に何が欲しいかとオトーサンに聞かれ、馬と答えたらそう言われた。
その代わりにこの世界にはジテンシャという小型の機械があり、一般国民の特に子どもたちはそれを操って移動するのだった。私は随分苦労して、八歳の誕生日に貰ったその乗り物を乗りこなせるようになった。
ガッコーから帰れば、オトートの世話をしたり、オカーサンが夕食を調理する手伝いをすることもあった。料理に必要な品物を買い求めて店に使いに出されたり、オカーサンのサトから送られて来た柑橘をオスソワケと称して近所へ届けに行かされることもあった。まるで下女の生活である。
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