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グレッグが作ってくれたとは、口が裂けても言えない。それでもこの刺繍が褒められるのは、グレッグが褒められているようで嬉しくなる。
「刺繍といえばシャルロット様ね! 本当にお上手ですから」
「そう言っていただけると嬉しいです!」
カレン様に褒められて頬を染める姿は、物語のヒロインのように目を引いた。派手な顔立ちではないけれど、不思議と目で追いたくなるのは天性のものなのでしょうね。
「シャルロット様はお菓子作りもお上手で、こちらのクッキーもお持ちくださったの」
「良かったらレイラ様もぜひ!」
すすめられたクッキーを一口食べてみると、甘さ控えめでふわりと紅茶の香りが広がり、本当に美味しかった。キャラメルがかかったクルミが、良いアクセントになっている。私が褒めるとシャルロット様は大喜びしていた。その姿もとても愛らしく、表情がくるくる変わるので見ていて飽きない。
(……グレッグと話が合いそうね)
そのあとのお茶会もグレッグが予想していたとおり、昨日の舞台や少女小説の話題が続いた。本当にグレッグの手紙で、予習したかいがあったわ! 少し忘れかけたところはあったけど、無難に過ごせたはず! なんとか今回もやり過ごせたことにホッとした頃、お茶会もお開きになった。
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