07. 緊張の舞踏会

1/2
前へ
/49ページ
次へ

07. 緊張の舞踏会

(連絡もしないくせに、舞踏会は一緒に行くつもりなの?)  さすがに文句言ってやるわ! と思っていたが、迎えにきてくれたグレッグの顔を見たら何も言えなくなった。グレッグは私を見ても無表情で、こっちを見ようともしない。着飾った私を見ても、簡単に褒めるだけでそっけない。 (いつもなら大げさなくらいに、褒めてくれるのに……)  つれない態度は城についてからも同じで、騎士団に呼ばれたグレッグはすぐに行ってしまう。1人ポツンと過ごしていると、遠目にカレン様とケイティ様が見えた。そういえば私、先日のお茶会のお礼状出してなかったわ! あわてて2人に挨拶しようと近づくも、彼女達は暗い顔で熱心に話しこんでいて、気軽に入れそうな雰囲気ではない。 「私、本当にニセモノね……」  グレッグがいないと誰も近寄ってこないし、自分からは挨拶もできない。チラチラと見られているような気がするけど、もしかしたらみんなグレッグとシャルロット様の関係を知っているのかしら。私、憐れまれているのね。目の奥が熱くなり、涙が出そうになる。こんなところで泣くわけにはいかないと、奥に隠れグっとこらえているとファンファーレが鳴り始めた。 「これより騎士団の功績をたたえるメダル授与式を行う!」 「え? 授与式?」 (グレッグが戻ってこないのに、始まってしまったわ。私なんのためにこの夜会に参加したんだろう……)
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

180人が本棚に入れています
本棚に追加