Ⅰ後編【アナレプシス──回想】

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玉響は一通り画面との睨めっこを終えると、幽玄と向き合う。 「幽玄が興味を持つなんて珍しいな。気に入ったのかい?」 茶化すように言う玉響。幽玄も兄に揶揄われているのは分かっていた。 「そんなんじゃない! 知らない奴がウロウロしていたから聞きに来ただけだ」 幽玄が鬱陶しそうに玉響を睨む。 そんな事は全く気にせず、幽玄の感情の起伏を楽しんでいた。 一通りニヤニヤしていた玉響だったが、堪能した後は顔つきが鋭くなった。 「でもな、玉響。あの子は僕たちとは違う。住む世界が別なんだ。関われる子じゃない」 玉響は敢えて幽玄に釘を刺す。 それは兄としての優しさでもあった。 「そんなことわかってる」 幽玄には興味がない。 そんなこと言われるのは心外だった。 「聞きたいことはそれだけだから」 そう告げると、そうそうにその場を立ち去る。 どっちにしても関わらない意志が覆ることはなかった。
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