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玉響は一通り画面との睨めっこを終えると、幽玄と向き合う。
「幽玄が興味を持つなんて珍しいな。気に入ったのかい?」
茶化すように言う玉響。幽玄も兄に揶揄われているのは分かっていた。
「そんなんじゃない! 知らない奴がウロウロしていたから聞きに来ただけだ」
幽玄が鬱陶しそうに玉響を睨む。
そんな事は全く気にせず、幽玄の感情の起伏を楽しんでいた。
一通りニヤニヤしていた玉響だったが、堪能した後は顔つきが鋭くなった。
「でもな、玉響。あの子は僕たちとは違う。住む世界が別なんだ。関われる子じゃない」
玉響は敢えて幽玄に釘を刺す。
それは兄としての優しさでもあった。
「そんなことわかってる」
幽玄には興味がない。
そんなこと言われるのは心外だった。
「聞きたいことはそれだけだから」
そう告げると、そうそうにその場を立ち去る。
どっちにしても関わらない意志が覆ることはなかった。
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