Ⅱその裏幕の足音

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ワイワイ騒いでいる集団の隅の、ごみの中で幽玄とフユキは大人しくしていた。 最初はフユキがゴネるかと心配していた。最悪見捨てようと思っていたぐらいだったが、思っていたことはなく、大人しくしていた。 ちょこん、と三角座りをして蹲る。たまに顔を上げては周りを伺っている。 その様子に幽玄は感心さえしていたのだ。 そんな時間も束の間だった。 「ヤベッ、血脇さん着いたらしいぞ!」 それを号令に一斉に緩んでいた場が引き締まる。 こんなゴロツキでもそうさせる程の男なのか、と幽玄は顔を上げ警戒した。 (いや、あの血脇なら俺だとバレたら殺されるかもしれない) どう考えても、致命傷なお子様だと幽玄でも自覚していた。下剋上か何か画策しているのである。危険因子は何でも排除するであろう。 できればその前に助けが来ることが望ましかった。 (どうも間に合いそうもないかもな) 何となく覚悟を決める。幽玄は自分の先の事よりも隣のフユキの事が心配だった。 (こいつは俺よりも殺される確率は低い……のか? 交渉材料にしそうだが) 大体、何故一番厄介な『不動家の子ども』をターゲットにしたのか。そこまでは関与していなかったのか。 実際外からやって来る足音は焦っている様であった。 ドアがバタンッ、と勢いよく開く。 そしてドカドカと入ってた足音に、できるだけ顔が見えないように幽玄は膝を抱えて俯く。 だがそんな抵抗など空しく、幽玄は髪を掴まれ持ち上げられた。
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