②奇妙な登校

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そして幽玄は保険を掛けるために、幼馴染の阿紀良を引き摺り込み入学を果たす。 表で阿紀良が暴れてくれたら、自分にはスポットライトは当たらない。 ついでに陰キャでもやっておけば万々歳だ、という算段である。 よって今年18歳になって高校1年やり直しであった。 その無理難題に対して阿紀良は渋々承諾し、自分の家の肩書と、組長の伝手で入学したことを大々的に宣伝し、入学数ヶ月で猛者共を束ね上げ頂点に君臨した。 元来、幽玄には敵わないが一緒に育った手前、腕っぷしはなかなかだったこともあり、喧嘩では負け知らずであった。 そして幽玄は、自分はイジメ対象にでもしておけ、と命じる。 逆らうことも無く阿紀良は「ハイハイ」とその言葉通りに時々幽玄を適当に弄っていた。 折角手に入れた居場所であった。 それが、目立たないように生きようと思って……朝帰りではなく、朝登校となった事実。 阿紀良は真っ青だったのだ。 今からでも事情を聞いて、時と場合では計画を修正しなければならない。 慌てつつも、こうやって呼び出し状況の説明を求める。
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