Ⅲ救出劇

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血に染まった瞳が次のターゲットを定めようと視線を泳がせる。 そのターゲットを何故か白夜に定めたのは──単に、目の前に立っていた派手な動きをする奴だっただけである。 ニヤリ──……。 その目が見開かれた。 ──ドォォォン!! 大きな物音が辺りに響く。 その音と「イタタタタッッッ──」と呻く声が響くのはほぼ同時だった。 「あーあ、初仕事でイッちゃいましたねー」 そう言い、幽玄が立っていた場所には玉響が立っている。 幽玄といえば、玉響に蹴り飛ばされ吹っ飛び壁に激突。既に意識は手放していた。 「珍しくお前が出るとか言うから、連れてきたが。その程度で呻いている様じゃ付いて来た意味ワカンネー」 白夜は呆れ顔で玉響を見下ろす。 蹲りながら足を擦る玉響は「はははっ……」と乾いた笑いで返答した。 「白兄、それにしても言ったとおりでしょ? 人手は必要だって。まぁここまで幽玄がイッちゃってるとは思わなかったけど──言った通り少なからず何か『変化』はあったでしょ」 「ドヤ顔で言ってるけど玉響、お前の説明全く分からんかったぞ。ただ緊急を要するのは理解できた」 幽玄の事など放り投げ、二人の会話は白熱する。 そして、呆れ顔で白夜は歩き出すと幽玄を掴み持ち上げた。 「よしよし、意識吹っ飛ぶだけで済んだか。玉響が本気出したら頸椎ぐらい軽く折れてしまうからなぁ」 「それは幽玄の前では言ってはダメだよ?」 幽玄の状態を確認した白夜に対して、玉響が自分の唇に指を当ててシークレットを提示する。 「ハイハイ、ちゃんと理解しておりますよ。今回の功績もお前のものだしな。それにしても──こいつが黒幕だったとは。いつから気付いていたんだ」 朝、普通に言葉を交わしていた白夜は、自分の滑稽さに虫唾が走り無意識にそのイライラを屍と化した血脇にぶつける。 蹴飛ばした骸は反応せず、ただ沈黙のまま絶命した後その場に転がっていた。
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