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◇
「ほーんとにごめんっ! いろいろと考えないといけないのに、軽率でしたっ!」
教室へ戻るなり……平謝りする斑雪。
「いや、別に呼び出しはいつものことだし」
そう言い、気にする必要が無い事を幽玄は告げる。
「それでも、なんかアイツらに隙を与えたというか……」
そんな意味不明な心配を、斑雪は幽玄に対して切実に罪悪感を伝えている。そんな斑雪を見て、幽玄は心の中で笑い転げた。
(そういう解釈もあるのか)
新鮮な視点である。
実際、斑雪は後悔の念か……俯き焦っている様であった。
ここまで来ると、不憫である。
「別に問題はないよ」
そう言い、営業スマイルを展開する。
表情は前髪で読みにくいが……口角が和らぐことで、それを見た斑雪も安心感が生まれた。
「それにしても……」
斑雪は疑問点をぶつけてみる。
「なんであんなところで酔いつぶれていたの? 何か犯罪に巻き込まれたのかと……見つけた時には焦ったよー」
「いや、塾の帰りだったんだけど……なんか疲れてたからとか? 帰り際に兄貴迎えに行ったら付き合えって飲まされたのが敗因だよ」
幽玄は思いつく単語を並べ、その場で言い訳を取り繕う。
それに斑雪は納得したのか、「そっかーお兄さんいるんだね。不動くんも色々と大変なんだね」と納得している。
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