②奇妙な登校

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「私にも兄がいるけど……色々と苦労させられているから、滅茶苦茶分かるわ!」 そんな事を言われ、手を握られると……斑雪はウルウルとした瞳で同情してくる。 別にいいのだが……幽玄はこのクラスメイトの距離感のイカレ具合に、ただただ呆気に取られてしまった。 不知火斑雪(しらぬいふゆき)……クラスでは別に目立つ存在ではない。 元々偏差値の低い高校でもあるが、その上評判もあまりよくない。 そんな感じの学校でもあったため、女子生徒はそこまで多くなかった。 皆、学業よりも限りある学生生活を楽しむ方が忙しい……そんな連中だった。 そんな中、毎日同じ髪型で、化粧気は無い。 たまに寝ぐせまで存在するその容姿に……不釣合いな制服。 噂では、買うに困って知り合いから譲り受けた為、サイズが違うんだとか。 斑雪の家が貧乏な噂は前々からあったのは、幽玄も知っている。 そして……今朝の事で確定した。 (確かに激貧乏だったな) 感心してしまう程……生活様式が違うのは体験済だ。 そこで……袖触れ合うのも何とやら……何故激貧乏なのか不思議に思う。 幽玄は自分のスマホを取り出すと……メッセージを手早く打ち込み、送信する。 ──返答が届くまでは(・・・・・・・・)そんなに時間はかからなかった。
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