②奇妙な登校

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前通っていた高校もそんなにレベルの高いところではなかった。 しかし、この高校はそれよりも下位である。 前日の美術のテストで『可愛いチンパンジーをかけ』というお題があった。 本当はこれで及第点を無くすのが教師の意図だったらしいのだが、実際可愛いチンパンジーの絵ではなく『エリザベスに……エリーゼに……』等と〝名前〟を書いて追試の奴がいた。 いろいろと終わっている場所である。 それでも……幽玄に必要なのは『学生』という身分なので助かっていたのだ。 定時制や通信制も考えたのだが……それでは組長である親父が首を縦に振らなかった。 「何考えてやがんだよ……ったく……」 そんな不満を幽玄は吐き出す。 結局、家業は放課後のこの合間にパソコンを勝手に使い消化していた。 ここでチェックや遣り取りを行い、場合として学校帰りに現地で仕事を終えることもあった。 携帯では見にくいこともあったりで……「やはり画面はデカい方がいいよなー」等と感嘆しながら、画面と睨めっこするのが幽玄の放課後の日課となっていた。
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