③放課後→本業へ

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③放課後→本業へ

「って、そーいえば中筋通のラブホに寄らないといけなかったっけ」 パソコンの画面を見ながら、幽玄は呟くように確認する。それは組の管轄の店の一つであった。 最初は阿紀良に頼もうかと、携帯を手にした。 しかし、操作する前にその指が止まる。 「アイツも学生業いろいろと迷惑かけてるし、忙しそうだからまぁいいか」 そう言って携帯を置くと立ち上がる。 めんどくさいことは大抵、阿紀良に頼むのだが……最近は学生業で、不良どもの相手が案外忙しいらしい。 その上の、本業での幽玄の補佐もあって……本人は弱音を吐かないが、バタバタなのは幽玄自身も気付いていた。 出来ることは自分でやろう、という結論に到達した。 図書室については、開館時間は一応設けてあるが、結局のところ学生は誰も来ない。 一応、放課後に『開けていた』という実績があればいいだけのことであった。 自分の采配で勝手に閉めても文句も言われないし、誰も困らない。 これ以上居ても時間の無駄だと判断し、パソコンの電源を落とした。 図書室のカーテンを閉めて、誰もやってこないトビラに『閉館』を掲げる。 職員室へ寄り、司書に鍵を返すと終了であった。 「不動くんは真面目で本当にいい子ねー」 なんてやんわりと言う司書はまだ若い女性教員であった。 何故か幽玄には猫なで声で接してくる。 その言葉の裏の意図が鼻に付き、幽玄は距離を置きながら素っ気なく対応する。 女教師は何か言っていたが、そんな事は適当に聞き流しさっさと職員室を出る。 そして背後の扉をやんわり閉めた。 その界隈では有名な童貞喰いの異名を持つ女だった。気づかれていないと思っているのは本人だけである。 「あーいう童貞喰いとか、俺に向けるのマジ勘弁だわ」 この高校には本当にロクな人間がいないな……などと皮肉を漏らし職員室を後にした。
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