③放課後→本業へ

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気が付けば、早々と図書室を切り上げたと思っていたが、外は美しい茜色となっていた。 時間の経過に驚き、「あーついでにどっかで飯食うかな」などと画策する。 「たぶん阿紀良は付き合いで遅いだろーし。たまにはどっか女のとこでも寄って帰るか」 そんな事を考えカバンを持ち上げる。 重そうなカバンだが、中身は入っていない。 幽玄は最近何気に思ったことがあった。 今までは勉強というものに興味が全くなかったこともあり、目も向ける事が無かったのだが、この高校に入り気付いたのは、学校でやる事が無い。 そんな経緯があり、何気に授業を聞くようになったのだ。 そうしているうちに、今までお経のように聞こえていた講義が、何となく理解できるようになっていた。 その日一通り聞いた講義は、次までちゃんと覚えており、更に授業がスムーズに頭に入る。 その繰り返しで、気が付けば教師の提示する問題で、分からないものも無くなったし、試験では学年トップとなってしまった。 これには幽玄も驚いた。 「案外、勉強も楽しいものだな」 なんて言い始め、組に出入りしている顧問弁護士に、最近では分からないところまで教わっている。 塾講師の経歴を持っているだけあって、教え方はまあまあで分かりやすい。 「幽玄さん、今度全国模試受けてみたらいいですよ。たぶんいい線行くと思います」 と顧問弁護士にお墨付きをもらう程、幽玄の学力は進化している様であった。 ちょっとその模試を受けてみようかな、と何気に考えている幽玄もいた。 それが丁度今週末だったことを思い出す。
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