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「いえ、すみません……」
謝罪するも相当痛かったのであろう。涙目になっている。
幽玄は……「大丈夫か……って!?」と声を掛け……唖然とする。
「大丈夫です……──ってあれ、不動くん!?」
清掃員はオバハンだと思い疑っていなかったのだが……涙目なのは斑雪だった。
「なんで……お前こんなところに居るんだよ!」
「え……あーちょっとバイトというか……なんというか……」
バイトが禁止されている高校ではない。
許可制なのだが、場所が問題なのだ。
清掃員スタイルで裏口ににいる時点で……言い逃れは難しい。
見られたという事は……下手したら学校で処罰対象になってしまう危険が生まれた瞬間であった。
「って、なんで不動くんが裏口から……?」
斑雪は鼻の頭を擦りながら……生まれた疑問をぶつける。
「え……あ……うー」
そこで初めて……幽玄もここで出会った拙さに気付きどもった。
「そうだよっ、知り合いのオッサンに言われて忘れ物届けに来たんだよっ! お使いだ!」
ラブホに何のお使いなのか……斑雪には疑問しか湧かない。
ちょうどそんな問答していると……店長も出くわし、幽玄は慌てて目で合図する。
「オッサン、忘れ物持ってきたぞ」
そう言うと……察した店長が「あぁ……さんきゅーな」と言い、別室へ案内しようとする。
そして斑雪には「サボってないで仕事しろ」と指摘し……急いで下がらせた。
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