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「今日お越しとは知らなかったですよっ!」
ハラハラしながら、店長はどもりつつ弁明を考える。
その為にここは無難な会話で突っ切ろうと、躍起になっている様であった。
「まぁ、気紛れだけどな」
そういい、幽玄は気になったことを尋ねる。
店長の事情などそんなこと気にもしない。
きっちり後で根掘り葉掘り聞くことにして、とにかく自分の疑問を優先とした。
「俺が学生やってんの知ってるよな」
「えぇ、その点は大抵の者なら把握しております」
「なんでアイツがこの店でバイトしてんだよ」
「お知り合いで……?」
「クラスメイトだ」
その言葉で、店長は青ざめる。
「わかって雇ったのか?」
「申し訳ありませんっ! その……薄々感づいていたのですが、経歴に『中卒』と書かれておりまして……」
その後の店長の言い訳では、斑雪は詐称してバイトに応募。
店長も薄々気づいていたが、人手不足で雇ったという事である。
勤務態度は至って真面目で、特に文句も不満もない。
だから気にせずウィンウィンで成り立っていた、ということだった。
「まぁ、別にその程度でどうこうしねーよ。ただ」
そう言い、頭を抱える。
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