③放課後→本業へ

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案外斑雪という人間は逞しいらしい。 ヤクザの経営する店舗に詐称など……気付かなかったのであろうが、それでもなり振りかまわない状況なのは読み取れていた。 「案外、窮鼠なんとやら、になりそうな予感もする」 クラスメイトのそんな奴が、自分の組の店でバイトしていて鉢合わせ。 色々考えてもあまりいい状態ではない。 「今スグ解雇致しますので!」 店長は蒼白になりながら、そう釈明する。 「バカか! そんなことしたらバレるだろっ!」 そう声を荒げ横目に考えながらコツッ、コツッ、コツッ……、と指で机の淵を弾く。 そしてその指が止まると再度、店長を呼んだ。 ──……幽玄はふと一つの賭けに出ることとする。 「おい、ちょっとアイツ呼んでくれないか?」 そう言いニヤリと笑う。 とりあえず幽玄はこの出来事の尻拭いとして、自分の得意分野はフルに活用することにした。
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