③放課後→本業へ

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沈黙が室内を包み込む──。 それを打破したのは斑雪だった。 「あのっ、不動くん……その……今回の事は……」 「ここがバイト先だって学校に『申請』しているの?」 言おうとしていた言葉が、先に幽玄の口から告げられる。 ハッと顔を上げ、視線が幽玄と合うとそれ以上は何も言えず黙ってしまった。 (やはり、学校へは未申請か) 幽玄からしたらビンゴである。 こんなところでの仕事は高校としても風紀に反する。 いくら偏差値の底辺の様な高校であっても、許可など出すはずがない。 「その……どうしても働かないと生きていけないの。無理を承知なのは分かっているんだけど、その……学校には!!」 「でもこの店でも経歴詐称らしいじゃん」 「!? ──……」 それは図星であった。 もうバレていることも斑雪は悟った。 絶体絶命である。 ──また沈黙が室内を包み込んだ。
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