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「一つ提案があるんだけど」
ここで幽玄が『提案』を出す。
「ご存じの通り、ここの店長と俺は知り合いだ。そして不知火さんの家庭状況も何となく風の噂は聞いている。で、だ……俺としてはこのまま『目を瞑っていてもいい』と思っている。そこでだ……」
「そこで……?」
「ギブアンドテイクでウィンウィンと行こうよ、不知火さん」
そう言い、幽玄は本性剥き出しでニヤリと笑った。
「ウィンウィン?」
「そう、知っての通り俺は学校では立場が弱い。まぁ色々な奴に絡まれたり……結論めんどくさいんだよね。それでなんだけど、その俺の小間使いとしていろいろと補佐して欲しいんだよね。そいういう人材を探していたんだ」
ニッコリ笑みを浮かべているが、言っている事はゲスである。
こうやって、手綱を握っていれば、少しは牽制になると考えたのだ。
しかし斑雪の頭の中には、どう変換されたのか「わかった! 家政婦ってことだねっ!!」と結論付けると目を輝かせている。
想定外の反応に対して、逆に幽玄が面喰ってしまった。
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