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「いや……え? ……あの……」
「大丈夫! 家政婦のバイトも経験済だし、何より世話は双子が居るから得意なんだ!」
「双子……ああ……あれ……」
その単語で思い出すのは、あの口達者なギャングツインズである。
確かに、あれを制御できるのなら大抵のことは大丈夫だと、そんな気がしてきて幽玄は苦笑する。
(って……そうではないっ!)
と慌てて思考を遮断するように、首を横に振った。
「大丈夫! 私けっこう使えるから、安心してっ!!」
ドヤ顔で目を輝かせている斑雪。
こいつ今まで騙されても、騙されたことを認識したことないタイプだと実感する。
「何かが違う……」
頭を抱え無意識でそんな言葉が、幽玄から零れ落ちた。
もっと自分の方が有利に事を進めて、と考えていたのだが、やる気なのは斑雪の方である。
なんで脅されている奴が、こんな嬉々としてやる気を見せるのか?
何処で間違ったのか──。
傍では店長が笑いをこらえているのは認識でき、『はぁ?』と幽玄は睨みつける。
「ハイハイ、承知しましたよ」
呟きとも取れる店長のその言葉で、斑雪のバイト継続は決定となった。
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