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①普段と違う朝
「おい……今何時だ……?」
そんな事を言い、いつものように幽玄は時計を見ようと、頭元周りを探る。
しかし一向にお目当てのスマホに行きつくことは無かった。
不思議に思いながら、瞼を擦ると眠い目を開ける。
目の前にはジャージ姿の女が眠っていた。
ビックリして、辺りを見回そうと反対側を向くと、「起きたわよっ」「こいつ何者なんだ」と同じ顔の幼児が二人で覗き込んでいる。
その顔に幽玄は見覚えがあった。
「ギャングツイン……」
「えー何で私たちのネーム知ってんのよー」
「こいつ只者じゃねぇな……」
訝しげに顔をマジマジと見られ、呆気に取られて言葉も出ない。
どう考えても、女抱いて朝を迎えた図としてはお粗末なもの過ぎた。
いや、その前に幽玄は起き上がって自分の身体を確認する。
昨日と同じ学生服のままで、全く乱れた形跡もない。
部屋は……と、辺りを見回す。
「これ……家なの──か?」
それがとても合っている程、シンプルな掘っ立て小屋のような建物。
雨漏りしそうと言う
雨漏りしそうと言うより、台風が来たら終わりな状態である。
「うー……ん……、あ……おはよぉ」
そう言うと、隣で目が覚めた女は……それより着ているそのジャージには見覚えがあった。
「お前……もしかして……」
胸元に刺繍されているのは高校名、『杜ノ宮高校』は現在幽玄が通っている高校である。
これでも幽玄は──、不動幽玄、杜ノ宮高校一年、十八歳であった。
理由がいくつかあり、この歳で今は高校一年をやっている。
そして、目の前のボサボサの頭の女にも見覚えがあった。
(確かクラスメイトにこんな奴いたよな……)
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