110人が本棚に入れています
本棚に追加
/145ページ
「あのなぁ、ゆら兄の思うことは何も無かったですよ?」
「不知火斑雪って子かな。けっこうおもしろい経歴と性格をお持ちの様だね」
「──……!?」
幽玄はびっくりして咄嗟に玉響をガン見する。
何食わぬ顔で、玉響はぶっ倒れたままであった。
ただ、この兄の変態な所以は快楽ではなく興味関心にも興奮し、勃起する。
「──……ゆら兄、興味を持つのは良いですが、弟の前でギンギンに反応するとか、その可笑しな性癖は何とかならないのか?」
「失礼なっ! これはお前に向けたものではないっ!」
「分かっとるわっ!!」
はぁーっ、と頭を振ると、幽玄はそんな兄は無視して湯船に浸かる。
何でこんな訳の分からん兄たちに囲まれて暮らしているのか、理解できない。
「だから結局俺に白羽の矢が立つんだよ」
「──……それはすまないと、僕も白夜も思っているさ」
それは誰に言う訳でもない呟きだったのだか、玉響が少し寂しそうな笑みを浮かべ謝罪する。
「ウチの家業をお前に背負わせることになるのは……申し訳ないと思っている」
「いえ、これは単なる俺の戯言です。聞き流して欲しい」
幽玄はこの宿命を恨んだりはしていなかった。
別に兄たちを呪うこともしていない。
ただ、今は単純に興味が無かったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!