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そんな珍しい二人の登場で、その場の空気は一気に冷えて全員に緊張が走る。
一番イラついていた幽玄も怒りさえ吹っ飛び、我に返る。
「やれやれ、やっと戻って来たか」
そして白夜は「で、何が今回のトリガーだったんだ?」と面白そうに尋ねる。
「ホントだよ、僕の腕まで犠牲になったんだからね」
「いや……それは勝手に」
幽玄が突っ込もうとした時、横から「兄貴ぃーっ!! ありがとうございますっ!!」と涙ながらに駆け寄ってくる。
それは先程、特攻要員と位置付けられていた若い奴だった。
それはもう泣きじゃくりながら玉響に礼を言い頭を何度も下げる。
「ハイハイ」と言いながら玉響はそれを宥めていた。
そんな二人を横目に、白夜は幽玄に答えを求めた。
「いや……あのギャングツインズに絆されて騒いでたから、粛清しようとしたまでだ」
幽玄なりの正論に白夜は真顔になり、結論を述べる。
「ふぅーん、まあ幽玄にはその権限は無きにしも非ず。だが、まだ早い」
そう一刀両断する。
「お前は確かに位置的に時期組長かもしれない。だが今は単なる組長のイチ息子ってだけだ。イチ息子だからって、何でも好き放題していいわけではないからな」
「そうだね。いくら無法者の集団って言ったって、極道には極道の秩序ってのは大切だよ」
そう付け加えると、玉響も立ち上がる。
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