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「あなたは誰?」
「見たことある気がする……」
流石噂は真実だと言わんばかりに、双子は臆することなく幽玄を見て『疑問』をぶつけた。
周りは一気にその発言で血の気が失せる。
幽玄は思春期ということもあるが、元々の気質から感情の起伏が激しかった。
そして極めつけが『お前誰だ』発言である。
知らないのは仕方ない。
だが。この敷地内でそれが許されることは無い。
その場の全員が、最悪を回避する方向を猛スピードで模索する。
また双子の口を慌てて押さえて『いえ、ガキの戯言ですからっ!』と何とかご機嫌伺いへと走った。
幽玄は怒ることも無く、少し感心していたところもあった。
元々ギャングツインズと言えば『ヤクザ大好きな双子』ということで有名だった。
何故ヤクザが大好きなのかは分からない。
いや、誰もその事は知らないのだ。
また、こんな事をしているのに親が止める気配がない。
そもそも親という存在を見た者は誰もいなかった。
身内か親がその筋なのでは? ということで、意見は一致しているのが、この界隈での結論だったのだ。
それでも、子供ウケする体格でもなければ容姿でもない集団に臆することなく声を掛ける姿勢は、ある意味称賛に値する。
双子は臆することなく幽玄を見て何か勘づいている。
それが幽玄には面白かったのだ。
慌てふためく周りの者どもを手で制止し、双子に視線を向ける。
「お前らが有名な双子のガキか」
「ちゃんと名前があるわ」
女児の方が間髪入れず、指摘する。
「では名乗れ」
「お前から名乗るのが筋だ」
男児も幽玄の言動に一石を投じた。
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