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「俺はここではユウと呼ばれてる。不動家の三男だ」
「あら、ではこの家の息子ってことね。私は桜子」
「オレは桜輔だ」
「お前ら……立派な名前があったんだな」
臆することなく名乗る二人に……幽玄は感心してしまった。
そして……ギャングツインズしか知らなかったが……立派な名前である。
「で、なんでお前らがウチに居るんだ」
感心している場合ではなく……本題を突きつける。
「ちょっと……散歩よっ! そう散歩っ!!」
「そ……そうだっ! 地域パトロールってやつだっ!」
「へーその割にはしょげてウロウロしていたらしいが」
ニヤリと笑い……幽玄はその嘘を否定する。
双子は……言葉を失った。
「散歩だろ? それ喰ったらさっさとパトロールとかいうものへ行くなり、家へ帰るなりしろ」
畳みかける様に……幽玄はそれ以上何も言うことは無いと、踵を返す。
「……仕方ないじゃない……あのクソ兄が帰ってきてるんだから……」
「──……!?」
その呟きは、桜子からなのか桜輔からなのか……分からない程の小さなものだったが、殺気の様な呪の様な禍々しい何かを含んでいた。
とても……幼児が発するものではない。
それは……深く深くに存在する闇のようなものでもあった。
幽玄がそれに勘づいて眉をひそめる。
この程度の闇など……日常茶飯事で、別段真新しくもない。
それ以上の闇の淵を……幽玄は知っている。
それを……一般人、それも幼児が発していることに違和感だったのだ。
また……この双子の兄というのは、斑雪の兄でもある。
知るだけでもクソな男だという認識が……何か引っかかった。
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