①普段と違う朝

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◇ 幽玄は必死になって思い出そうと、目覚めていない頭を振り起こす。 (確か……あの後、途中でクルマを降りた……よな) あれから昂っていたエネルギーを持て余して、幽玄は取り敢えず飲みに行こうとクルマを降りた。 そして馴染みである、不動一家の御子息にも物怖じしないバーテンオネェが経営している店〝ラフレシア〟へ行ったのである。 その店は、幽玄の素性も知っていてフランクに接してくる。 不動組と親しいお陰でその恩恵も受け、えげつない事もしている店だが組ではそれくらい目を瞑っていた。 幽玄にとっても裏営業している『情報屋』にはお世話になっている。 ウィンウィンということであった。 店に着いて扉を開けると「いらっしゃぁ~い♡」と相変わらずの声色で迎えてくれる。 「ユウちゃん~流石に学ランはまずいわよぉ~」 マスターというよりママこと、ランはそう言って眉間にしわを寄せ……溜息を吐いた。
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