⑥変わらない教室の中の違和感

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「いや……おい、ちょっと待て……だから何がだよ!」 「大丈夫よっ!! 私案外デキる人間だからっ!! 不動くんも大船に乗った気でいてねっ!」 「は!? デキる人間ってのが意味分かんねーけど」 満面の笑みが眩しい斑雪に、幽玄は何か根本的に間違った事を悟る。そして話が噛み合わない違和感に苛まれていた。 (なんてポジティブな) 結論そんな感想しかなかったが、既に斑雪はご機嫌で去って行く。 一人取り残され、幽玄はどっと疲れを感じながら歩き出した。 溜息交じりで、幽玄は図書室へ向かう。 途中で図書室の鍵を受け取り、いつものように図書室に着くと、誰も来ない図書室で一応委員会の仕事をこなしつつ、パソコン片手に家業のネットワークも覗いていた。 「今日は予定は特になし。いや、新規オープンの店舗に顔出さないといけない……と」 そう言えば、新しく風俗店オープンさせるとか何とか聞いていた。 新規に配属した責任者が幽玄にお目通りを申し出ていたのだ。 「噂では、かなり悪どいやり口のヤリ手店長とか言ってたな」 その手腕はかなり犯罪めいたものなのだが、大体は法の目を潜り抜ける。 そして自分のケツは自分で拭う精神も持ち合わせていたので、組の中でも叩かれる事無く頭角を現している。 ただ、いつボロが出るのかは、時間の問題であった。 幽玄でさえ、それを危惧しているのだ。 長男の白夜が放置しておく案件ではない。 今は腹の探り合いの段階なのは、幽玄も認識していた。 「さっさと潰してしまえばラクなのに」 幽玄からしてみたら、いくら無法地帯だといっても、公安に目を付けられるのは面倒くさい。疑わしきは何とやら。 さっさと処理してしまえ、と思うところだった。 しかし、これには玉響も加担しており、兄二人が何かを画策している時点でもう幽玄には扱える案件ではなかった。 「絶対行ったら俺を取り込もうと女宛がうんだって」 幽玄からすれば、行った先の接待なんて容易に想像がつく。もう溜息しか出ない。 今回の店は──ソープランドだと聞いていた。
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