⑦家業の手伝いの中で

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「あの店長って奴、かなりえげつない方法で人材をかき集めたのは知っているだろ?」 玉響が冷やしたタオルで再度顔を覆い、横になると解説が始まっていく。 机でパソコンと向き合っている白夜は、そのままの体勢で話を聞いていた。 「別にその手口にとやかく言うつもりもない。今更倫理観や道徳など説くなよ」 玉響がそんな事をするはずがない事は分かっていたが、白夜は一応揶揄ってみる。 「はいはい、聖人君主ゴッコを今ここでおっぱじめようとは思わないさ」 苦笑しながら、白夜の嫌味を受け流した。 「その名簿の中に有り得ない名前を見つけてね。もちろん偽名で紛れ込んでいたんだけど、なんか引っかかるから追跡したんだ。まぁ僕や白夜には一切関りが無いから、ノータッチいいんだけど」 そう言うと、ガバッと勢いよく起き玉響が目を輝かせて白夜を見る。 「誰だと思う?」 そう言い微笑む玉響の笑みは、普段知っている能天気なモノではない。 まさに『不動玉響』という人物そのものを現していた、と言うにピッタリな程闇を纏ったものだった。
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