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そう言われても、斑雪は返答に困った。
こんな格好で隣に座れとか、精神的に無理である。
もう限界突破で眩暈すらしてくる。
そんな動揺を眺めていた幽玄にとって、この斑雪の一挙一動がどうも楽しいようであった。
言葉無く手招きしてみる。
斑雪はどうしていいのか分からずオドオドしながら、それでも従うかのように傍へ歩み寄った。
その瞬間、幽玄は無言で腕を掴み引き寄せる。
──きゃっ!
小さな悲鳴と共に、跳ねるようにソファーへ倒れ込こむ。
そして自分を覆いかぶさるように見下ろしている幽玄と目が合った。
もう心臓はかなり波打つかのように跳ねている。
ここまでくれば嫌だろうが何だろうが覚悟するしかない。
そう斑雪は腹を括ったかのようにギュッと目を閉じ、これから起こることへの恐怖に震える。
幽玄からしてみれば、自分を翻弄させた張本人が子兎の様に小さく震えていることが優越感であった。
してやった感でほくそ笑む。
「気が変わった」
そう告げると斑雪を見下ろしながらニヤリと笑った。
「気が変わったって……あの、それって……」
その言葉がどういう意味なのか理解ができず、戸惑いしか生まれない。
期待してもいいのだろうか、と視線を上げる。これは理由はさて置きこれからの事は無くなるのでは、という淡い期待だった。
しかし、その期待は一瞬で消え去ってしまった。
「ひっ……、あ……っ」
何の予告も無く幽玄は無造作にその胸のふくらみを撫で始める。
最初はその形を確かめるかのようにラインに沿って撫で上げ、その指が頂に到達すると指の腹で弄ぶ。
くすぐったいような感覚が斑雪の中で沸き起こり、無意識に悲鳴のような声を上げた。
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