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「へぇ、意外な反応。……いいかも」
幽玄は自分の加虐心がくすぐられる感覚を覚え、ゾクリッと身震いした。
自分の理性が飛びそうな衝動を覚え、その白く柔らかい胸元の双丘を再び撫で始めた。
「待って……あの……それは……ダメッ!」
くすぐったい衝動だけではない事を少しずつ感覚が覚えている。
「そんな困った顔しても、煽っているだけにしか思えないんだけど……。ちゃんとどうして欲しいのか言ってみろよ?」
斑雪にどうして欲しいのか、自分で言わせようと仕向けるように耳元で囁き、耳朶を甘噛みし始める。
自分がどうしたのか分らない。ただ、足りないようなむず痒い疼きを少しずつ覚え始め、下腹部が熱を持ち締め付けられるような、ヘンな感覚が芽生える。
その感覚を追っている自分がいる。
「いや……だぁ……ぁ」
斑雪は全てから抵抗したかった。
今までの自分じゃなくなるような恐怖。
──……ビクンッ!
幽玄が小さく跳ねたかと思うと、弄んでいた指が止まる。
そして斑雪を支配していた疼きも止まった。
バサッ、と何かが斑雪に覆いかぶさり、固く瞳を閉ざしていた斑雪がビクッと反応し、恐る恐る目を開ける。
自分を覆い隠していた男の体はそこには無く、代わりに自分の身体にはジャケットが掛けられていた。
何が起きたのか理解できず、斑雪は強張った身体を懸命に起こす。
そして隣に座って足を組み頬杖している幽玄を不思議そうに眺めた。
「お前って、将来の夢とかやりたい事とか何かあるのか?」
「え? 将来……?」
急にそんな事を聞かれ面喰ってしまうと、視線を落とした。
「何で──そんな事聞くの?」
「うるさいっ! 答えろやっ!!」
何故か怒鳴られ斑雪はヒィッ、と小さな悲鳴を挙げる。
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