親切なたまご

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 数日間なら美味しく食べられるという注意書きに油断しているうちに、賞味期限から一週間経っていた。牛乳を取り出す時もちらりと見ていた二つの卵は、見た目は何も変わる事なく大人しく卵のパックに収まっていた。いや、見た目は少し変わっていたかもしれない。殻の表面がザラザラとした小さな突起物で覆われていた様にも見えた。それは本当に小さな変化だった。  更に三日経った。そろそろ食べるのが怖くなり、廃棄止む無しと判断した0時。背後でギイイイと、聞いたことの無い音が聞こえた。見なくても気配で分かった。冷蔵庫がひとりでに開き、トゲだらけの二つの卵が怨みのこもった目でこちらを見ていた。 「……という夢を見てさ。俺、最後はどうなったのか分からないんだよね」 「たっぷりと話しやがって。ホラーかよ」 「だろ? そういえば、お前さ。土産だって言ってたのケーキだっけ? 食おうぜ」 「ああ。冷蔵庫に入れといたぜ」  冷蔵庫を開けると買った覚えのない六個入りの卵のパックが入っていた。 「ケーキ、下の段に入れたの分かった? あと、そのケーキに使ってる卵……何だっけ。賞味期限は短いけど、すごく美味いからって勧められたんだ。食ってくれな」
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