ポータラカへの招待

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 2時間後、研究室に一旦集合した渡研の5人は、パトカーに先導されてバンを走らせ雑司ヶ谷公園という場所に着いた。  坂道が長く続く地形の、丘の上に位置する広大で緑豊かな公園の周囲は、ぐるりと警察の規制線のロープで囲まれ、下方に位置する住宅街から住民が路上に出て、不安そうに公園の方を見つめていた。  背景に遠く池袋の高層ビルが見えているその公園の真ん中に、その物体は立っていた。  高さ150メートル、幅80メートルほどの、人型と思えばそう見えない事もない(いびつ)な人形のような形をしている。  平たい筒状の胴体の様な部分が中心にあり、ベルを逆さにしたような末細りの二対の足のような部分、それが地面に突き立って全体を支えている。  人間で言えば両肩にあたる場所から下に向かって一対の、これもベルを逆さにしたような腕のような部分があり、頭にあたる部分には横に長い楕円が二つ並んでいた。まるで両目の様に見えた。  その目のような部分は滑らかな表面をしており、ちょうど真ん中に真横に線上の真っすぐな窪みがある。もし目だとすれば、閉じている形だった。  頭の上には、複雑な形の高さ10メートルほどの塔のようになっている。その塔はいくつもの細い棒状の物が複雑に絡み合い、まるで軍艦のレーダーの様にも見えた。  全体的に青黒い金属で出来ているようで、中心の胴体のような部分には様々な複雑な幾何学模様が浮かび上がっていた。  公園の中に通された渡たち研究室の面々も、それを見上げて呆然とするしかなかった。  自衛隊の野戦服を着た隊長らしき人物が近寄って来て渡たちに敬礼した。 「ご足労をおかけします。渡先生、あれが今日の朝、大気圏外から飛来した物体です」  渡も軽く一礼してその自衛官に訊いた。 「あれが、例の隕石らしき物の正体だという事ですか?」 「はい、日本各地のレーダーが追跡していましたので、それは間違いありません。大気圏突入直前に急激に減速し、そのままヘリコプター程の速度で飛翔し、あそこへ降下しました」
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