第9章 彼氏?仮彼氏?

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ん? なんだ? 俺の予想では『きゃあ、ありがとう。(ハート)』だとか『私、うれしい。(ハート)』が返ってくると思っていたのにかおりはどう考えたのか表情をいろいろと変えながら、だけど返事はなかなか…ない。 い、いやだったのか? 土曜日の夜のあのかおりはどこにいってしまったんだ… ここは強気で押し切るか、下手に出るか… 正解はどっちだ。 仕事のように簡単ではない。 「何百面相しているんだ?」 1秒程度熟考したあと、俺は答えを出した。 よし、強気で押していこう。 必死に余裕のある表情を作り、かおりを見つめる。 しっかり俺を見て彼女の薄い唇が動き始める。 よし、こい、かおり。 「その冗談、面白くないです」 えっ?なんだと。 「冗談は言わない。俺はいつだってまじめだ」 「冗談ではなく彼氏になるって言うなんて…桐生さんって軽々しく誰にでもそういうことを言う人なんですか?」 かおりの口調が少し強い。 ん?なんだ、俺は失敗したのか?怒らせたのか? フル回転で次の対応を考える。 さぁ、どうする、俺。
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