第9章 彼氏?仮彼氏?

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「桐生湊さん…聞きた…」 まだ、フルネーム呼びをしようとしたな…かわいいが駄目だ。 「湊だ。恋人同士なんだから湊と呼べ。」 一気に距離を詰めにかかる。 「湊」 「えっ」 「練習しろ。湊だ。」 「み、み、湊さん…」 少し赤くなっている佳織、かわいい~ ダメだ、にやけそうになる。 「声が小さいな、恥ずかしいのか、佳織。恥ずかしがる様子もかわいいが、大きな声で呼んでくれ。あと湊でいい。さんはいらない。」 そんなに呼び捨てにするのが恥ずかしいのか、彼女の顔が真っ赤になった。 「み、湊」 「よし、それでいい。これから俺を呼ぶときはそう呼べ。でなんだ、聞きたいことというのは。」 「どうして私の彼氏のふりをしてくれるんですか?」 それは俺がずっと好きだったから…だなんて言えないな。 「かおりが困っているから。」 何でもないことのように彼は答えた。 「でもそんな理由で彼氏のふりって…湊って…お人よしですか?それとも親切心?」 なんだろう、急にかおりは言うことまでかわいくなる時がある。 「そんなわけない。俺にもメリットはある。」 「メリット?」
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