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「桐生湊さん…聞きた…」
まだ、フルネーム呼びをしようとしたな…かわいいが駄目だ。
「湊だ。恋人同士なんだから湊と呼べ。」
一気に距離を詰めにかかる。
「湊」
「えっ」
「練習しろ。湊だ。」
「み、み、湊さん…」
少し赤くなっている佳織、かわいい~
ダメだ、にやけそうになる。
「声が小さいな、恥ずかしいのか、佳織。恥ずかしがる様子もかわいいが、大きな声で呼んでくれ。あと湊でいい。さんはいらない。」
そんなに呼び捨てにするのが恥ずかしいのか、彼女の顔が真っ赤になった。
「み、湊」
「よし、それでいい。これから俺を呼ぶときはそう呼べ。でなんだ、聞きたいことというのは。」
「どうして私の彼氏のふりをしてくれるんですか?」
それは俺がずっと好きだったから…だなんて言えないな。
「かおりが困っているから。」
何でもないことのように彼は答えた。
「でもそんな理由で彼氏のふりって…湊って…お人よしですか?それとも親切心?」
なんだろう、急にかおりは言うことまでかわいくなる時がある。
「そんなわけない。俺にもメリットはある。」
「メリット?」
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