仮彼氏始めました。

第２章 あなたはだぁれ？

１０時まであと５分、桐生コーポレーションからのお客様をお出迎えする。
専務は落ち着いた紺色のスーツにえんじ色のネクタイ、一目で仕立ての良さがわかるスーツだ。若いころはさぞかしモテただろうという顔だち、私の両親ぐらいの年齢ながらおなかも出ず、髪も寂しくなくきれいなロマンスグレイの様子からうちの秘書室ではダンディすぎる専務とこっそり呼ばれている。
その専務の後ろにいたのは智花さんから聞いていた営業本部長…名前は桐生　湊(きりゅう　みなと)さんというらしい。桐生コーポレーションの桐生ということは、もしかして…

年齢は３０歳前後かな、身長１６５cm＋ヒールの私でも十分見上げる高さということは１８０ｃｍ以上はある高身長、そしてなんといってもこの整った顔立ち。街中で会ったらきっと彼のところにだけスポットライトが当たっているように感じるであろうオーラがすごい。こんな整った顔立ちの人がこの世にいるなんて…挨拶をして、一瞬見ただけでも彼から目が離せなくなりそうだった。イケメンウォッチャーとしてはついじっと顔を見ていたくなるけれど、ダメダメ今は仕事中だと思い、ぐっと我慢する。

ちらっと見ただけでも私の知ってるイケメンの中で3本の指に入るレベルだ！！！
そしてまちがいなくメガネ男子の中では一番だ。
３本の指のあと２本はモデルになった友人と大学時代の飲み友達。
今日はいい日だな。