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同じベッドには男がすやすや寝ている。
男…よね?
うん、男だ。
一瞬悩んだわけは、睫毛が私より長く、肌がきれいすぎる男だったから。
負けそうだ、そう思った。
寝顔がかわいい。
目を閉じていてもわかるほどの大きい目、右目の斜め下には小さなほくろもすごく色っぽい。
男と確信できたのは筋肉質な上半身が掛け布団から出ていたから。その肌だってつるつるで、吹き出物なんてできたことなさそう。
つい触りたくなる…
ん?冷静に隣の男を観察している場合じゃなくて…
いまこの状況をよくよく考えてみよう。
今の私は…
少なくても掛け布団から出ているのは私の裸の肩だ。この腕も私のものだ。
布団の中は…
ん、ん、ん?
私の体に密着しているはずの下着が何もない。
寝るときは裸派です、というわけでもない。
布団をめくって目視してみよう…
あ、あ、あ、裸だ。
なにがどうなってる?
なにがどうなった?
体には特に違和感はない、気はする。
どこも痛いところもない。
きっと何も変化はない、ただ裸なだけ。
今の私には彼氏はいない。ここ数年いない。
念のため言っとくとセフレ的な人もいない。
ソフレもいない。
初めて会った人と寝る習慣もない。
で、この隣の人は…誰?
見覚えがあるような気はするのに…思い出せない。
この目じりのほくろ…どこかで見たような…気のせいだろうか。
こんなきれいな顔立ちの人、一度見たら忘れないだろうに…
なのに思い出せそうで思い出せない。
寝顔じゃなかったら思い出せるだろうか…
いや、起こす勇気はない。
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