第1章 なんでこうなった?

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メイクも落とさずに寝てしまって、そのままの顔で外に出るなんて、本当なら絶対にしたくない。だけど今は緊急事態だからとカバンと引き出物の袋をぎゅっと握りしめて玄関のほうへ向かう。 あっ。 と思った瞬間、カバンと引き出物の紙袋がドアにぶつかり転がった。 大きな音がする。 だめ、起きちゃう。 逃げなきゃいけないのに。 急いで落としたものを拾ってカバンに突っ込んで…部屋を飛び出した。 逃げろ~ 逃げろ~ 逃げろ~ まったくもって冷静に物事を判断ができていなかった私の頭の中には逃げ出すことしかなくこの場から逃げれば問題解決のように甘く考えていた。 私の住むアパートの何倍も豪華なマンションの廊下を通り、エレベーターで1階に向かう。さっきの部屋、10階だったな、ということは最上階だ、とエレベーター内の回数の表示を見ながら思った。 豪華なエントランスにはコンシェルジュのきれいな女性が座っていた。 ボロボロで逃げるように出ていく私の姿を、朝からあんなにきれいにしている人に見られるのは嫌だったけど、もう2度とは来ないのだからと堂々と出ていく。 こそこそするほうが怪しいし…いや、こんな朝早くに結婚式帰りの服装と荷物というだけで十分怪しいか…
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