第1章 なんでこうなった?

8/10
前へ
/275ページ
次へ
それから私は振り向かず必死の思いで足を前へ前へと動かし、家に帰りついたのはそれからたった15分後だった。 私が一晩過ごしたらしいマンションは昨日の夜の最後の記憶の場所である弥生さんのいるバー『February』から歩いて5分ほどで、私のマンションとは『February』をはさんで反対側だった。 すごく近かった… 最寄りの駅はきっと同じだろう、今まで見かけたことなかったよな…あんなきれいな顔立ちの人、電車で見かけたらきっと覚えているはずだ。 それにしてもきれいで整った容姿の男の人だったな。 今まで見た中であんなに寝顔がきれいな男の人は見たことがなかった。 長い睫毛、シミ一つない透き通るような肌、すっとして高い鼻、あごのラインもきれいだった…あの目尻のほくろ、すごくよかった。寝顔ですら色気が半端なかった。。 あ、だめ、もう忘れよう… 何があったのか考えたくない。 そう思うと今度こそはちゃんと化粧を丁寧に落としお手入れをしてからベッドにもぐりこんだ。 色々忘れよう… 忘れよう… 忘れよう…
/275ページ

最初のコメントを投稿しよう!

363人が本棚に入れています
本棚に追加