第1章 なんでこうなった?

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ブー ブー ブー ん?なんだろう。うるさいな。 ブー ブー ブー 何この音、寝れないじゃない。 気持ちよく寝ていたというのに目が覚めた。 え、あ、着信? 慌てて帰宅後そのまま玄関先に放置していたカバンを取りに行く。 誰かな、ずっと鳴らすのは…予想はつくけど… 画面に表示された名前は…あ、やっぱり 「はい」 …あ、佳織。出るのが遅い。今日は日曜日よ。お仕事はお休みの日でしょ。いつまでもだらだらしてないで… 「疲れて寝ていたから」 …佳織、あなたもう27歳になるのよ。もう5年も働いているんでしょ。そろそろやめて帰ってきなさい。私があなたの年の時にはもう子供が2人いたわよ。やっぱり大学生になると言った時に家から通うように言えばよかったわ。お父さんが一人暮らしを許すからこんないつまでも帰ってこない娘になったのね…まったく… は、始まった、母の早く結婚しなさいトーク。 月に最低でも一回はかかってくる恒例のこの電話。 いとこや昔の友人が結婚や出産した時、誰かの誕生日、テレビで芸能人の結婚がニュースになるのを見た時にかかってくることが多い母からの電話だ。 短大卒業後24歳で結婚しすぐに子供ができた母には大学から一人暮らしをしてそのままずっと働いている私が信じられないらしい。父はいつも『佳織の人生だから』と言って応援してくれているというのに、母にはなかなかそれが伝わらない。そのうえ2歳年下の妹の早苗は短大を卒業して3年目には結婚したので27歳の私の結婚が特に遅く見えるのだろう。
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