もう一度君に会いたい

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 幼なじみの少年若林海斗を大震災で失った女子中学生の杜野みやこ。海辺の町に住む少女は運よく別な場所にいたので助かった。しかし、海斗は中学校の委員会で校内に残っていた。しかし、学校の判断が悪く、校内に残っていた生徒は津波に巻き込まれて死んでしまった。多くの友人と幼なじみを救いたいと考えるみやこ。罪悪感が残る。そのままなんとか生きている。海斗はヤンチャでわりとモテるスポーツマン男子。みやこは普通の女子中学生。そんな二人はただの幼なじみのまま永遠に別れることとなった。せめて想いをつたえたい。せめて、彼だけでも助けたい。そんな想いが未来を変えることになるとは――。  時々手がふるえる。あの経験が手をふるわせているんだと思う。勝手にふるえる指先に罪はない。記憶は指先まで擦り込まれてしまったんだ。   悲しみを紛らわすために町にある古く大きな樹木の下でふるえながら泣く日々。誰にも見られることもないので、思い切り泣くことができる。そんなとき、大きな樹木から光が放たれる。その瞬間、みやこは大震災当日に戻っていた。つまりタイムリープだ。そんなはずはないが、たしかに2011年の3月11日。  これで、みんなを助けようとするが、誰も大震災のことを信じてくれない。みやこはせめて、ずっと好きだったが想いを伝えられなかった海斗だけでも救いたいとリベンジする。しかし、うまくいかず大きな樹木の下で気が付く。その後、樹木の下で強いねがいを念じると大震災当日にタイムリープできる。様々な作戦を試みる。しかし、何度も失敗する。   何度も失敗した後、タイムリープの中で、海斗に想いを伝える。もういない人に想いを伝えることはできない。せめてと思う。すると、海斗もみやこを好きだと言う。そんな両思いに二人の顔は紅を帯びる。  初々しい二人の恋が始まった。その後、海斗も一緒にタイムリープする。つまり死ななかった未来が今ここにある。涙を流しあって喜ぶ二人。しかし、全員を助けるということがかなわず、友人を救えなかった罪悪感に苛まれる。  震災伝承ボランティアをしながら二人は付き合うことになる。しかし、海斗は友達全員を助けたいと言い出し、もう一度大きな樹木の下に行く。  この樹木はきっとこの町を見守ってきた神様の樹なんだと思う。  もう一度タイムリープして、友達を助けたいと二人は願う――。  リベンジの先にチャンスは必ずあるはずだから。
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