プロローグ 僕は人を殺したが間違ったことをしたつもりはない

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プロローグ 僕は人を殺したが間違ったことをしたつもりはない

 日本が世界に誇る観光地、京都。千古不易たる千代に栄えし都には寺社仏閣を中心とした観光地があり、千客万来、老若男女、万国より観光客が訪れる。 そんな京都の治安を守るのが、京都府警。京都府警察学校を卒業し、志高く交番勤務となった男がいた。名は「刹那京ノ介(せつな きょうのすけ)」烏丸通の交番へと配属され、近隣住人から慕われる「街のお巡りさん」として日々の交番勤務を行うのであった。  京ノ介の仕事は謹厳実直そのもの、京都と言う土地柄を考慮して京都の観光地への行き方は全て頭にいれ、烏丸通の交番から観光地まで道筋の説明を適切に行うことが出来、海外の観光客にも対応出来るように主要国の言葉は日常会話程度には習得しているぐらいである。  柔剣道の腕前は京都府警察学校の同期生の中でもトップ、近所の小中学校の体育の授業の柔剣道の時には招聘を受けて指導を行う程のものである。尚、その腕前を「犯罪者」に奮ったことはない。制圧が必要になるような「犯罪者」と相対する事件に遭遇したことがないからである。銃の腕も京都府警察学校の同期生の中でトップ。年に一回開催される射撃コンテストでは京都府警を一位に導く程であった。  このように心身共に優れた警察官の京ノ介であったが、出世には恵まれなかった。いや、本人に出世願望が皆無と言うべきだろう。交番勤務として市民の安全を守る「街のお巡りさん」としての自分が好きで、刑事になって犯罪と戦うという気概が皆無だったのである。  それ故に、京都府警刑事課や他県警刑事課への異動の推薦を尽く断っており、推薦者達は皆惜しむのであった。 尚、昇進試験は一切受けておらず、階級も京都府警察学校在学時に与えられた「巡査」のままである。
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