IN FOX AFFAIR

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 事件の流れとしては…… 狐に憑かれた智也が秋奈を襲撃し気絶させた後、暫くその場で放置。その後、これまた狐憑きによって海鈴の監視要員をさせていた患者より「相原海鈴がカレシの家を出た」と報告を受け、智也を家への帰り道である渋谷裏通りのガード下にて待機させた。その間、秋奈は海鈴が通りかかっても目に入らないような隅の方にて放置を継続。  その後はガード下へと訪れた海鈴への襲撃。狐憑きに遭って意識のない状態でも体は恨みを忘れていなかったのか、気持ち少しだけ秋奈よりも苛烈なものであった。気絶させた後はその場で放置に至る。  この後は満身創痍の秋奈を起こしての動画撮影を行い、終了後は夜の闇に紛れて渋谷駅前のガード下に放置するのであった。 本来の予定は狐憑きの智也(記憶のない自分自身)によって海鈴を「表舞台に出られない」ようにすることで、智也の精神的負担の「原因」を絶つつもりであった。それだけで終わる予定だったのだが、運悪く洋瑛の抱える患者の「原因」が現れたため、急遽、標的(ターゲット)を追加することにしたのであった。 それが今回の事件の全貌である。  海鈴であるが、後日改めての襲撃を予定していたのだが、顔もゴッドハンドの美容整形で元には戻ったものの、襲撃されたトラウマから完全に自室に閉じこもるようになってしまった。母親の相原サオリは洋瑛の元にカウンセリングに行くように進めたのだが、拒否。洋瑛も自宅まで訪問カウンセリングの為に来訪したのだが、海鈴は終ぞ部屋から出てくることはなかった。 実話系の雑誌に「相原サオリの娘、部屋に閉じこもりきりになる、原因は不明。痴漢冤罪に関係か!?」と言う記事を見た智也は「天罰ってあるんですね」と、含み笑いを浮かべていた。だが、どこか憂いのある表情だった。 原因の消去は出来ても、失った地位も名誉も戻ってこないし、妻も子もない不毛な獣道を一人孤独に往くのみ。こんな人生の不安の解消は「狐憑き」ではどうしようもならない。洋瑛は智也に対して長期のカウンセリングを行いじっくりと付き合う必要があると思い、現状維持となっている。
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