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不思議で不思議で不思議に溢れたこの世界。
人が生まれれば空には星が生まれます。人が死ねば生まれたその星も死に逝きます。
ご存知でしょう? この世界はそのようにできているのです。
ではドラゴンはどうでしょう。
ドラゴンは何処で生まれ、何処で死ぬのか。
彼らは語りません。わざわざ自分の弱い場所を教えるほどドラゴンは浅はかではないのです。弱点は隠さなくとも、彼らは決してそこを見せません。それほど彼らにとってそこは特別な場所なのですよ。
つまるところドラゴンなど探しても見つかる生き物ではないのです。見つかるはずがないのです。彼らが見つからないように動いているのですから。
では、皆さん。
改めてお聞きしましょう。
あなたはドラゴンを見たことがありますか?
いえいえ、ふざけてなどおりません。私はその答えを知っているからこそお聞きしているのです。
あなたはドラゴンを見たことがある。それが答えなのです。
探しても見つからないドラゴンなのに、見たことがあるはずない。そうお思いでしょう?
ですが答えは「yes」なのです。あなたはドラゴンを見たことが「ある」。
夜空に光るお星さま。
キラキラ煌きら、ああ綺麗。
空にある星は誰かの命の星。
私の星も、もちろんあなたの星もあることでしょう。
でもお間違えのなきよう。
すべての星が誰かの星だとは限りません。
ドラゴンは何処から生まれるのか。
ドラゴンは卵から生まれます。
ドラゴンの卵は何処にあるのか。
ほら、そこにあるじゃないですか。ほら、そこ。あなたの頭の上。
空ですよ。
空の星。
夜空に光るお星さま。
中には大きな卵が隠れてる。
いくらなんでもあんなものが「ドラゴンの卵」だとは気づきませんよね。
実際、卵が空に浮かんでいるわけではないのです。卵が空に浮かぶ星に見える。ただそれだけのこと。
だから、あなたはドラゴンを見たことがある。正しくは「ドラゴンの卵を見たことがある」。
では、もうひとつ。
ドラゴンは何処からやって来るのか。
決まってますよね。ドラゴンは卵から生まれる。生まれたドラゴンは何処から来るのか。
空からですよ。
卵が空にあるのなら、孵ったドラゴンの子は空から地上へ落ちてくるのです。
それこそまさしく「竜星雨」。
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