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誕生日1日前
「のりちゃん、お誕生日おめでとう。1日早いけど」
私、比嘉典子は明日、30歳になる。その1日前に私は両親に呼びだされた。1日前だけど、明日は私が用事があるからと言ったので、では誕生日1日前に家族で久しぶりに食事をしましょうと母さんが決めた。私は生まれたときから誕生日は必ず家族にお祝いをしてもらっている。両親にとって結婚は早かったのに子供はなかなか授からなくてようやく授かったのが私だったので両親はとても私を可愛がった。仕事の都合で一人暮らしをすることになった時も過剰に心配したくらいである。
「ほら、のりちゃんの大好きな苺たっぷりのホールケーキに唐揚げにピザにサンドイッチよ。あ、もし残ったらタッパーに詰めてあげるからね」
父さんも母さんもニコニコと私の顔を見て言う。誕生日を祝ってくれるのは嬉しい。子供の頃はこの日を特に楽しみにしていた。両親に一番愛されてる日だと思った。けど歳を重ねるにつれ、この日が苦痛になってきた。
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